斉藤 正也さん/67歳 優子さん/64歳
スクエアダンスのサンアントニオ・ナショナル
コンベンション用に作った思い出のコスチューム。
カントリー調の音楽と同様に衣装もポップで華やか
ダンスサークルが縁で知り合った斉藤正也さん、優子
さん夫妻はスクエアダンスのナショナル・コンベン
ションに何度も参加するほどの愛好家。
二人はダンスのパートナーであり、人生のパートナー
として結婚以来40年、苦楽を共に歩んできました。
年輪を重ねた今も、心から寄り添い合う夫婦の絆の
秘けつを教えてもらいました。
フォークダンスサークルで運命の出会い
今も欠かさずに通う、週に一度のサークル練習日。笑顔いっぱいの二人
ダンスのポジションに着くと、 どちらからともなく自然に手をつなぐ斉藤夫妻。なんともほほ笑ましくて、素敵な光景です。
夫妻が普及に努めているのは、アメリカ生まれの「スクエアダンス」。男女4組で1セット。カントリー音楽のメロディーに乗ってステップを踏むという軽快な踊りです。
二人の出会いは、今から45年前。当時は全国的なフォークダンスブームに沸いていました。札幌にもフォークダンスサークルがあり、そこで運命の出会いが…。
「妻は昔からダンスが抜群にうまかったですから」とおのろけ気味の正也さん。優子さんもサークルのまとめ役だった正也さんの姿に「彼の指導力やいろいろな物事に対する素早い行動ぶりが目に留まりました」。お互いがひかれ合うのにそう時間はかからなかったとか。
さらに、そのフォークダンス仲間が中心になって旗揚げしたスクエアダンスのサークルに初代メンバーとして加わったことで二人の距離は一気に縮まり結婚へ。「ベストパートナーが生涯の伴侶になりました」と口をそろえます。
その後、二人の子供にも恵まれ、正也さんが29歳のときに転勤で家族そろって埼玉に移り住みます。スクエアダンスの国際的な集い ナショナルコンベンション
に何度も参加するほどの愛好ぶりでした。
「手をつなぐことでお互いが
分かり合えます」と正也さん
「ここ数年ケンカしたことは
ありませんね」と優子さん
そんな公私ともに順風満帆だった夫妻を突然の出来事が襲いました。30代半ばと働き盛りだった正也さんは、 原因不明の突発性難聴に。「今も忘れません。買い物中のデパートで右耳が突然聞こえなくなりました」。2年間の入退院の末、吐き気をもよおすほどの頭痛はなくなったものの、右耳の聴力は戻りませんでした。
何よりもつらかったのは、ダンスができなくなったこと。「スクエアダンスはコーラと呼ばれる動作を指示する人のかけ声に合わせてステップを踏むのが特徴なので…」。
そんな中でも夫妻はめげませんでした。「あの2年間はものすごくつらい時期でしたが、子供も小さかったですし、ダンス以外の世界を知ることのできた貴重な時間でもあったんです」と振り返ります。正也さんは住んでいた団地の自治会会長として奔走し、優子さんはボランティアに。お互いがそれぞれの世界を広げました。そして14年前、再び東京でダンスサークルのドアをたたくと20年のブランクを飛び越え「全く変わらない顔ぶれがそこにはいたんですよ」と笑顔を咲かせます。
ブランクを乗り越え再びダンスの世界へ
さらに、正也さんが定年を迎え
7年前に故郷札幌へUターン。
それを機に一念発起して新たな
スクエアダンス サークル
「サッポロ・サニー・スウィンガーズ」
を立ち上げました。聞こえる左耳で音を拾いながら。
「ダンスは心を通わせるもの 魅力は尽きません」正也さん。
「ケンカらしいケンカは思い出そうとしてもここ数年は全く
ないんですよ」優子さん。
今後も仲良く二人で手を取り合って人生歩んでいきます。
30代の二人。今も昔も変わらぬ仲むつまじさ