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マンションの眺望問題、業者側に賠償命令です。入居したマンションのすぐ前に同じ業者が別のマンションを建て眺望を損なわれたとして住民が損害賠償を求めた裁判で、札幌地裁は訴えを一部認め、業者に慰謝料の支払いを命じました。
札幌の中心部に近いマンションの13階に住む斉藤正也さんです。窓の外に見えるマンションは入居当初にはなかったものです。
(斉藤正也さん)「ボーンと目に入ってくる。山並みが全然見えない」 |
斉藤さんがこのマンションに入居したのは2年前の4月。当時、景色を遮るものはなく、山並みも見渡せました。しかし、1年半後にはその眺望は一変しました。およそ60メートル先に新たなマンションの建設が始ったのです。驚いたことに建設したのは自分が購入したマンションと同じ住友不動産でした。
(斉藤さん)「見晴らし良いということで入居したのに、同じ会社がそれを否定した。絶対許せない」
眺望の良さを薦められたという斎藤さんは、反対の会を作り、住友不動産に対して計画の変更などを申し入れましたが全く受け入れられませんでした。
斉藤さんは最後の手段として他の住民2人と共に住友不動産側に総額およそ2000万円の賠償を求める訴えを起こし、31日の判決を迎えました。31日の判決で札幌地方裁判所は、「全ての眺望が阻害された訳ではないが、会社には眺望を害しないよう配慮する義務がある」として、原告の訴えを一部認め、住友不動産に対して総額225万円の慰謝料の支払いを命じました。弁護士は「眺望についての配慮が認められたことについては意義のある判決だ」と分析しています。しかし、斉藤さんは納得がいかないと話しました。
(斉藤さん)「賠償額が思ったより少ないので、住友不動産が企業倫理で反省するのかという疑問はある」
償を命じられた住友不動産は、「判決文の内容をよく見たうえで今後の対応を検討したい」とコメントしています。
原告の代理人によると市街地での眺望を巡ってマンション業者側の責任が問われるのは、全国でも異例だということです。
(2004年3月31日(水)「どさんこワイド212」)
■HBS北海道放送 2004.03.31 「花火が見えない」住民が一部勝訴
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「ベランダから花火が見える」とセールスされて買ったマンションの眺めが、1年後、同じ会社の新しいマンションに遮られました。 「こんなことは許せない」と住民が起こした裁判で、札幌地裁が不動産会社に損害賠償を命じました。 しかし住民は納得できません。 去年7月、札幌・豊平川の花火大会。 斉藤正也さんは13階のマンションのベランダから花火を眺めます。 しかし、花火は半分しか見えません。 花火が見えないのは60メートル南側に同じ15階建てのマンションができたためです。 |
しかも…。
新しいマンションを建てたのは、自分のマンションと同じ会社でした。
札幌・中央区の15階建てマンションの13階と14階に住む斉藤さんら住民3人は「眺めの良さを売り物にしながら、眺めを壊す新しいマンションを建てるのは民法の信義誠実の原則に反する」と主張し、住友不動産と住友不動産販売に合わせておよそ2000万円の損害賠償を求める裁判を起こし闘ってきました。
斉藤さんはおととし3月、退職金の3000万円で15階建てマンションの13階の部屋を購入しました。
当初4階の部屋を買うつもりでしたが、ベランダからの景色の良さを勧められ435万円を上乗せして13階に移っていました。
マンションが建つ札幌・大通地区は、「商業地域」にあたり建物の高さに規制はありません。
このため被告の住友不動産は一貫して「15階建てマンションを建てることに何ら問題はない」と主張してきました。
きょうの判決で札幌地裁は、住友不動産に合わせて225万円の賠償を命じました。
判決では「眺望をセールスポイントとして販売し、価格にも反映させている。
建築した者として眺望を害しないように配慮する義務がある」と斉藤さんたちの主張を一部認めました。
しかし「新マンションが眺望を全面的に阻害したとまでは言えない」「購入する時に新マンションの計画は具体化していなかったので事前に説明するのは不可能だった」などと判断して、賠償を請求額のおよそ9分の1に減額しました。
判決について住友不動産は「判決文の内容をよく見たうえで今後の対応を検討したい」とコメントしています。
テレポート2000で放送 2004年3月31日(水) 19:00更新
■北海道日刊スポーツ 2004.03.31 225万円の賠償命じる/眺望権の侵害認める
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札幌市中心部にある分譲マンションの高層階物件を購入した斉藤正也さんら3人が、同じ会社の別のマンションで眺望権が侵害されたとし、住友不動産と住友不動産販売に計約2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は住友不動産に計225万円の賠償を命じた。 川口泰司裁判官は「建築した者として眺望を害しないよう配慮する義務がある。眺望権が損なわれたとする原告の怒りも容易に想像できる」と指摘。しかし「新マンションが眺望を全面的に阻害したとまでは言えない」などとし賠償減額の理由を述べた。 |
住民らは2社が建築、販売した15階建てマンションの13、14階の物件を01年に購入。02年6月ごろ、2社はマンションの約60メートル南に15階建てマンションを分譲販売する計画を表明し、昨年12月に完成した。
■日本経済新聞 2004.03.31付 札幌のマンション、眺望権で賠償命令―地裁、不動産会社に「別物件が侵害」。 2004/03/31 日本経済新聞 夕刊
札幌市中心部にある分譲マンションの高層階物件を購入した住民ら三人が、同じ会社の別のマンションで眺望権が侵害されたとして、住友不動産と住友不動産販売に計約二千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、札幌地裁は三十一日、住友不動産に計二百二十五万円の賠償を命じた。
川口泰司裁判官は「住友不動産は建築した者として、眺望を害しないよう配慮する義務がある。眺望権が損なわれたとする原告の怒りも容易に想像できる」と指摘。しかし、「新マンションが眺望を全面的に阻害したとまではいえない」などとして賠償を減額した理由を述べた。
住友不動産販売に対する請求については「新マンション建設にどのように関与したか証拠がない」として退けた。
判決などによると、住民らは二社が建築、販売した十五階建てマンションの十三―十四階の物件を二〇〇一年に契約して購入。しかし、〇二年六月ごろ、二社はマンションの約六十メートル南に新たに十五階建てマンションを分譲販売する計画を表明し、昨年十二月に完成した。
不動産会社側は「眺望権は、別荘地のリゾートマンションのような物件などで問題になることはあるが、都心部でその権利を認めることは困難」などと反論していた。
■朝日新聞 2004.04.01付
眺望遮るマンション 「信義違反」と賠償命令 : 「眺め良いマンション」近くに別棟建設
札幌市中央区南1東3の住民ら3人が「購入したマンションを建築・分譲した業者が、眺望を侵害する別のマンションを建てたのは信義に反する」として、住友不動産(東京都)と住友不動産販売(同)を相手に総額約2千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が31日、札幌地裁であった。川口泰司裁判官は「信義則上、その眺望を害しないように配慮する義務がある。原告の信頼を根底から覆し、精神的苦痛を与えた」として住友不動産に計225万円の支払いを命じた。住友不動産販売への請求は棄却した。
判決は「新マンション建築により視界の一部がさえぎられた。高層階の購入動機は眺望に重きを置いている」と指摘。新マンションが眺望を全面的に阻害していない点や購入価格などを考慮して慰謝料を算定した。
判決によると、3人は住友不動産販売からセールスポイントとして「眺望の良さ」を強調され、15階建てマンションの13、14階の部屋についてそれぞれ01年11月までに購入契約を結んだ。被告側は、原告が購入したマンションの南方約57メートルに、新たに15階建てのマンションの建築を始めた。
判決は、原告の契約時点では住友不動産販売が計画を知らせるのは不可能だったとして、住友不動産販売については「新マンションの情報を隠していない」とした。
原告側は「新マンションの建築の情報を知らずに購入した。被告側は計画を隠していた」と主張した。
被告側は「契約時点で一般論として、周辺に同じような規模の建物が建築される可能性は十分に説明している。新マンションは隣接地ではなく、道路などに隔てられた土地に建設された。損害賠償の対象にならない」と反論した。
原告の1人、斉藤正也さん(62)の話 主張が認められた点は評価したいが、金額には不満が残る。被告は住民に対し、謝罪すべきだ。
住友不動産の談話 判決文の内容をよく見たうえで今後の対応を検討したい。
(4/1)
■読売新聞 2004.04.01付
眺望PRしておいて…南側にマンション建設 住友不動産に賠償命令/札幌地裁読売新聞東京朝刊 社会
◆「信義に反する」
眺望の良さをPRして札幌市内の高層マンションを販売したのに、約一年後、約六十メートル南側に眺望を害するマンションを建設したのは違法として、購入者三人が住友不動産と系列の販売会社に損害賠償を求めた訴訟の判決が三十一日、札幌地裁であった。川口泰司裁判官は「住友不動産の行為は信義に反する」として、住友不動産に総額225万円の賠償を命じた。販売会社への請求は棄却した。
原告側弁護士によると、景勝地の眺望をめぐり賠償を命じた例はあるが、一般的な住宅地の眺望を害したとして賠償を命じた判決は珍しいという。
判決によると、原告三人は二〇〇一年、営業担当者から眺望の良さをPRされて札幌市中央区の十五階建てマンションの十三、十四階の部屋を購入したが、分譲した住友不動産などは翌年、十五階建てマンションの建設計画を表明し、昨年完成した。
原告の一人で、当初、四階を申し込んだ斉藤正也(62)さんは、営業担当者から「眺望がすばらしい」などと勧誘され、400万円以上高い十三階の部屋を購入したという。
■読売新聞 2004.03.31付
マンション住民の眺望害した不動産会社 225万円賠償命令 札幌地裁=北海道 読売新聞東京夕刊 札幌夕刊
眺望の良さをPRして札幌市内の高層マンションを販売したのに、その約一年後、五十七メートル南側に眺望を害するマンションを建設したのは違法として、購入者三人が住友不動産に総額二千六十万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が三十一日、札幌地裁であった。
川口泰司裁判官は「被告会社の行為は信義に反する」として総額二百二十五万円の賠償を命じた。原告側弁護士によると、景勝地の眺望をめぐり賠償を命じた例はあるが、一般的な住宅地の眺望を害したとして賠償を命じた判決は珍しい。
判決によると、原告三人は二〇〇一年、営業担当者から眺望の良さをPRされて札幌市中央区のマンションの十三、十四階の部屋を購入したが、分譲した住友不動産は翌二〇〇二年、南側五十七メートルに十五階建てマンションの建設計画を表明し、建設した。
原告の男性(62)は、埼玉県内に住んでいた二〇〇一年、引退後の住居としてこのマンション購入を検討した際、当初四階を申し込んだが、営業担当者から「眺望がすばらしい」などと勧誘され、四百万円以上高い十三階の部屋を購入したという。
■ しんぶん赤旗 2004.04.01付 眺望で売ったのに眺望破壊 住友不動産などに賠償命令 札幌地裁
眺望の良さを説明されて札幌市内の高層マンションに入居したのに、同一不動産業者が眺望を阻害する新マンションを近隣に建築したのは信義則違反だとして、購入者三人が、住友不動産と住友不動産販売を相手取り総額二千万円余の損害賠償を求めた裁判の判決が三十一日、札幌地裁でありました。
川□泰司裁判官は、マンション建築をし販売を進めた被告には「信義則上その眺望を害しないよう配慮する義務がある」とし、総額二百二十五万円の賠償を命じました。
原告三人は、高層では眺望が素晴らしいと説明を受けヽ十三階などを購入。ところが新マンション建築で、居間からの視界中に新マンションが入るようになりました。
判決後の記者会見で、原告の一人、斉藤正也さんは「会社側はこれまで 一貫して『われわれには関係ない。建てるのは自由だ』としてきた。判決が出たので住民の前で迷惑をかけたと謝罪してほしい」とのべました。原告代理人の西川哲也弁護士は「業者の信義則違反と市街地における眺望権を認める判決は全国的に珍しい」とのべ、高橋智弁護士は「マンションを買うときは現物が無く販売業者の信用があるから大金で予約する。企業のあり方が問われた」と語りました。
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